恐怖症の原因を探る 療法、カウンセリングなど
恐怖症は先天的か後天的か?
恐怖症の原因は先天的なものか、それとも後天的なものか、という問題については、慎重に考えなければなりません。
先天的に、もともと神経質な性格であるとか、親族に恐怖症の人がいるなど、遺伝的な要因から恐怖症になりやすいと考えられる場合もありますが、むしろ、これまでの家庭での育ち方や社会的な場面の経験など、環境的な要員から、後天的に恐怖症になる場合が多いようです。
しかし、恐怖症になったきっかけははっきりしないことも多く、先天的・後天的といった原因さがしをしてみても、恐怖症の改善は見られません。
恐怖症の種類がさまざまなように、恐怖症の原因も人それぞれです。また、医学的な見地から、現在、こころの病気のすべてが判っているとは到底言えません。
恐怖症の原因が先天的なものか、それとも後天的なものかという問題についての答えは、当面は出ないのではないでしょうか。
恐怖症の人は、その原因が先天的なものか、それとも後天的なものかと思い悩むよりも、まずは、今・現在の自分の状況を見つめ直して、本来の、あるがままの自分を受け入れて、その上で自分の否定的な考え・行動パターンを治していくことの方が大切なのではないでしょうか。
心理カウンセリングで恐怖症は治るか?
恐怖症によって、不安でつらい時には、専門のカウンセラーに相談することで、状況が改善されます。恐怖症は精神疾患の一種であるので、カウンセリングを受けることは非常に役に立つと言えるでしょう。
カウンセリングは、「認知行動療法」(別名「心理療法」ともいいます)という方法に属するものです。認知行動療法は、自分自身で、生活の中で行うことも出来ますが、カウンセラーなど専門家によってそれを指導してもらうことで、さらに効果をあげることが出来ます。
カウンセリングは、当面のこころの苦しさをやわらげるだけでなく、自らの恐怖症の原因であるものを見つける手助けになったりします。例えば、自分の「どうせうまくいかない」といった思い込みを正し、そこから来る「うまくいかないから、挑戦しない」といった行動パターンから抜け出すことが出来ます。
そして、自分が恐怖を覚え、逃げ回っていた状況から抜け出す方法を見つけだすことが出来ます。つまりは、恐怖症を治すことができると言えるでしょう。ただし、薬物治療と平行して行う方が良い場合もあり、カウンセリングだけで一朝一夕に治るというわけでもありません。
ただ、気をつけなければならないのは、資格などを持たない「自称カウンセラー」がいることです。きちんとしたカウンセラーとしての教育を受け、資格を持ったカウンセラーにかかることが必要です。
代表的な治療法「森田療法」
森田療法とは、1919年(大正8年)に、森田正馬によって創始された、恐怖症などに対する心理療法です。現在は日本だけでなく、世界的に行われています。
森田療法は、恐怖症などの治療に用いられます。入院治療が主体ですが、通院治療が行われることもあります。
具体的に、治療の流れを説明すると、以下のようになります。
○第一期 絶対臥褥(がじょく)期
まず、患者を外からの刺激を受けない個室に隔離し、食事・排泄時以外の活動を制限して、ただただ布団で寝ているようにさせます。
○第二期 軽作業期
臥褥時間を減らし、外界に触れさせ、軽作業をさせたりします。
○第三期 重作業期
睡眠時間以外は、ほとんど何かの活動をしているという生活にして、肉体的な重作業を行います。趣味なども自由に行えるようにします。
○第四期 退院準備期
日常生活に戻れるように、社会生活訓練を行います。
この課程を通常約一カ月間かけて行います。
その間、患者は日記をつけ、専門医が添削をします。
この、森田療法の目指すところを、簡単にいうと、自分の考え方のパターンを気づき、行動パターンを修正し、そして「あるがままの自分を受け入れる」ということになるでしょう。
森田療法は、恐怖症に最も効果があるとされていますが、健康保険は効きません。